2018.08.27

オールドレンズいまさら聞けない基礎知識 Vol.2フルサイズ フォーマット

オールドレンズ写真家の上野由日路(よしひろ)です。
「オールドレンズいまさら聞けない基礎知識」ではオールドレンズを楽しむ上で必要不可欠な情報をイラストを使って分かりやすく解説していきます。

第二回目は「フルサイズ」

最近色々なところで「フルサイズ~」と聞くことはないだろうか?たとえば「フルサイズミラーレス」や「フルサイズは写りがいい」とか。では一体フルサイズとは何のことだろうか?ずばり言うと「フルサイズ」とはカメラのセンサーサイズのこと。昔のフィルムカメラ(35mmフィルムカメラ/135サイズ)の画面サイズのことをデジカメでは「フルサイズ」と呼んでいる。正確なサイズはメーカーによって異なるが、おおよそ24mm×36mmくらい。これに対してAPS-Cやマイクロフォーサーズというのもセンサーサイズのことで、フォーマットとも呼ぶ。正確なサイズはあまり重要ではないので省略するが大きさは「フルサイズ」>「APS-C」>「マイクロフォーサーズ」の順となる。表にするとこんな感じ。

上の段がスチール(写真)のフォーマット。サイズの差は前述のとおり。デジタルカメラに採用するセンサーサイズは、メーカーによって様々である。かつてはフルサイズに近づくほど高性能とされたが、現在では一概にそうとも言えない。
フルサイズを採用するメーカー・・・CANON/NIKON/SONY/PENTAX/LEICA など
APS-Cを採用するメーカー・・・CANON/NIKON/SONY/PENTAX/SIGMA/LEICAなど
マイクロフォーサーズを採用するメーカー・・・OLYMPUS/Panasonic など
それではカメラを選ぶ際にどのフォーマットを選べばよいのか?そこで目安になるのがセンサーサイズごとのメリット・デメリットである。各センサーサイズのメリット・デメリットをまとめてみた。

フルサイズ・・・フルサイズのカメラは、各メーカともフラッグシップ(プロ)機であることが多く、高画質、高性能を備えている。その反面交換レンズやアクセサリーに至るまで高額であることが多い。

APS-C・・・デジタルカメラで最も多いセンサーサイズがAPS-Cである。ハイエンド(上級)機からエントリー(入門)まで採用されていてコストパフォーマンスが最も高い。フルサイズに比べて広角撮影が弱いのが難点。あと機種によっては高性能レンズやアクセサリーが充実していないなどの問題がある。

マイクロフォーサーズ・・・センサーサイズが小さいためレンズもコンパクトですむ。システム全体の小型化を図るならマイクロフォーサーズがオススメである。その反面センサーが小さいので高画素機がない。そのせいもあり広角はAPS-Cよりもさらに弱く広角主体の撮影には不向きである。ただAPS-Cと違いプロシステムが存在するので、本格的な撮影にも対応する。特に大きなセンサーを必要としない動画撮影に向いており動画の撮影現場の多くで採用されている。

ざっとこんな感じである。とはいえ最終的にカメラ選びはそのカメラがカッコよかったり、かわいかったりするかどうかが重要だと考える。どんなに優れたカメラもかっこよいと思えなければ使う機会も減ってしまう。多少のデメリットがあっても、好きなカメラであれば登場機会も増える。自分の相棒と思えるカメラであれば多少のデメリットは気にならないものなのである。

ここからはムービーのフォーマットの話だ。興味のない人には必要のない話だと思う。はじめの表で言うと下の段の話になる。ムービーフォーマットで言う35mmとは実はスチールの「ハーフ判」とほぼ同じサイズになる。なぜ同じ35mmフィルムを使っていて画面サイズが違うかというとムービーフィルムは縦送りだからだ。スチールは言うまでもなく横送りだ。フィルムのイメージは以下の表の通りだ。

35mmムービーフォーマットはデジタルカメラのフォーマットで言うとAPS-Cが最も近い。つまり35mmフィルムフォーマットのシネレンズは、APS-Cサイズのデジカメだと本来に近い状態で使うことが出来る。
では16mmフィルムフォーマットはどうなるのか?16mmは上の表にある通りかなり小さく、最初の表で見ると分かるとおりデジタルカメラのマイクロフォーサーズよりやや小さいサイズだ。そのため16mmムービーフォーマット用のレンズはマイクロフォーサーズで概ね使えるが、広角ではケラレてしまう。だいたいの目安としては焦点距離30mmより広角だとケラレが発生する。

シネレンズには様々なマウントが存在する。ここで紹介すると膨大な量になってしまうので代表的なマウントとミラーレスとの関係性をまとめてみた。

Arriflex,ミッチェル、PL,Oct-18,カメフレックス,アイモマウントetc.
業務用シネママウントで16mmと35mmが混在している(カメフレックスとアイモは35mmのみ)。35mmムービーフォーマットならばAPS-Cをカバーする。50mmを超えるレンズの一部ではフルサイズもカバーできる。

Cマウント
民生用のフィルムムービーカメラで採用されている25.4mmのねじマウントで例外を除き16mmフォーマット用。25mm以上の焦点距離ならマイクロフォーサーズでカバーできる。焦点距離25mm以下のレンズはNikon1やPentaxQもしくはマイクロフォーサーズのクロップ機能を使って使うことが出来る。

Dマウント
家庭用フィルムカメラで採用されている15.8mmのねじマウントで8mmフォーマット用。PentaxQで使うことが出来る。

ムービーのレンズはスチールのものと違い様々なフォーマット用が存在するので実際に物を見て購入するのが鉄則である。どうしてもオークションや通販などでしか手に入らない場合は、出品者に自分が使用しているカメラのフォーマットでも使用できるか確認することをオススメする。