AFが未来だった時代 Vol.5 各社のオートフォーカスカメラChinon CP-5 &AF AUTO CHINON ZOOM 35-70mm F3.3-4.5 &INFO BACK-2
オールドレンズポートレートフォトグラファーの上野由日路です。「AFが未来だった時代」と題してAF黎明期の機材を紹介していきたいと思います。1970年代に、自動露出カメラ(AEカメラ)で世界にどんどん進出していった日本のカメラメーカー。そして1980年代にはさらに先進的なカメラを目指してオートフォーカスカメラを次々と発表していった。当時オートフォーカスカメラは未来のカメラの象徴であるが、実用化は困難と思われていた。しかし日本のカメラメーカーはあっという間に難題を解決してオートフォーカスカメラ全盛期を築いた。未来を目指して邁進した日本カメラの足跡を紹介していきたい。第5回目は1983年にチノンから発売されたCP-5とオートフォーカスレンズユニットAF AUTO CHINON ZOOM 35-70mm F3.3-4.5だ。
1983年に発売されたこのカメラにはオートフォーカス機能はない。オートフォーカスユニットは全てレンズの方に収納されている。これまでのボディーと大きく違う点はレンズとボディが電子接点でつながっていてレリーズボタンでオートフォーカスが作動する点だ。オートフォーカスの方式は赤外線アクティブAF方式で主にAFコンパクトカメラに採用された方式である。チノンも多くのAFコンパクトカメラを作っておりそのAF機能を一眼レフに応用したのがこのレンズだ。精度的にはTTL方式のAFに劣るが、暗い場所やコントラストの低い被写体には強い。何より先述の電子接点は画期的でこれまでレンズ側のボタンでAFを作動させていたのがレリーズボタンで作動する様子は現代のAFカメラのようだ。このレンズには1982年に発売されたAF AUTO CHINON 50mm F1.7もある。こちらのレンズには電子接点がない為レリーズでのAF作動はできない。
ボディーマウントの向かって左上にある3つのポッチが電気接点だ。レンズ側には横並びで3点の電気接点。
CHINON CP-5 + AF AUTO CHINON 50mm F1.7
このカメラで最もユニークなのは「INFO BACK」と呼ばれるデータバックだろう。このデータバックは何と任意のアルファベットが30文字もフィルムに書き込めるという画期的なフィルムバックだ。今回カメラについているのは「INFO BACK-2」で液晶が追加になった。機能もさることながら見た目のインパクトがすごい。
文字は容赦なく画面中央部に書き込まれる。この時代のカメラはメーカーごとの主義主張が製品に色濃く反映されていてとても面白い。AFをはじめとする各機能をある種エンターテイメント的にカメラに取り込んでいくチノンの姿勢は非常に興味深いと思う。
カメラをホビーとして自分好みにカスタマイズして操作自体を楽しむという楽しみ方もあっていいと思う。そんなことを考えさせてくれるカメラだ。