2020.07.18

AFが未来だった時代 Vol.4 各社のオートフォーカスカメラ OLYMPUS OM30 & ZUIKO AUTO ZOOM 35-70mm F4

オールドレンズポートレートフォトグラファーの上野由日路です。「AFが未来だった時代」と題してAF黎明期の機材を紹介していきたいと思います。1970年代に、自動露出カメラ(AEカメラ)で世界にどんどん進出していった日本のカメラメーカー。そして1980年代にはさらに先進的なカメラを目指してオートフォーカスカメラを次々と発表していった。当時オートフォーカスカメラは未来のカメラの象徴であるが、実用化は困難と思われていた。しかし日本のカメラメーカーはあっという間に難題を解決してオートフォーカスカメラ全盛期を築いた。未来を目指して邁進した日本カメラの足跡を紹介していきたい。第4回目は1982年にオリンパスから発売されたOM30だ。

今回紹介するOLYMPUS OM30は前回紹介したPENTAX ME-Fの翌年に発売されたカメラだ。世界初のオートフォーカス一眼レフであったME Fよりシステム的に成熟している。各社がオートフォーカスという全く新しいシステムに様々な角度からとりくみ徐々に完成させていく過程がよくわかる。オートフォーカスのピントの検出方式は※CMOS CCDセンサー(CCDゼロインセンサー)によって映像走査をビデオ信号に変換しこの信号のずれ幅で検出するというものだ。ピント検出用LSI、測光、シャッター制御用LSI、表示LSIを独立させることで高速化を達成した。

OM30の最大の特徴はオートフォーカスがシステムとして取り入れられている点だ。これまでのオートフォーカス製品が単純にピントを合わせるのみだったのに対しOM30は様々なシステムが採用されている。

フォーカス方式もシングル、シーケンス(コンテニュー)、パワーフォーカス、マニュアルフォーカス(OFF)の4種類から選択できる。オートフォーカスの作動スイッチがシャッターボタンと一体化したのも当時としてはかなりの進化だ。そしてOM30の目玉とされているのがインフォーカストリガー撮影。専用のインフォーカストリガーコードとワインダーもしくはモータードライブを併用することでピントが合うと同時にシャッターが切れるインフォーカストリガー撮影が可能というものだ。現在からするといまいちピンとこないシステムだが当時のオートフォーカスはピントを作動させるスイッチ系統とシャッターボタンの系統がばらばらで撮影までにいくつものボタンを押す必要があった。シャッターを切りながら毎カットピントを微調整してくれるインフォーカストリガー撮影は実は今のオートフォーカスカメラにかなり近いフィーリングで撮影できる。

インフォーカストリガーコードとワインダーを装着したOM30。近代的な外観は個人的には好みだ。

 

①従来のAFカメラ

レンズ側のボタンでピントを合わせる➞シャッターを押す➞レンズ側のボタンでピントを合わせる➞シャッターを押す

②OM30

レンズ側のボタンでピントを合わせる➞シャッターが切れ続ける(2カット目からピントは自動で修正する)

 

という動きになる。字にするとわかりにくいがインフォーカストリガー撮影中のOM30の動きはほぼ現行のAFカメラと変わらない。

次にOM30の描写を見ていこう。オートフォーカスユニットを搭載したレンズはZUIKO ZOOM 35㎜-70㎜F4 AUTO FORCUSのみでそれ以外のレンズを装着したときはフォーカスエイド機になる。

住民退去後の青山北町アパート。以前と変わらないように見えるが伸びた雑草が生活の無さを感じさせる。

高度に連動したOM30のオートフォーカスシステムが後発のカメラに与えた影響はあまりにも多いがこのカメラの知名度は高いとは言えない。

 

※オートフォーカス検出センサー名に誤りがあるとのご指摘をいただきました。ありがとうございます。

誤CMOSセンサー➡正CCD(CCDゼロインセンサー)