フィルム初心者の強い味方「フィルムカメラ・スタートブック」出版!!
オールドレンズポートレートカメラマンの上野由日路です。最近若者に大人気のフィルムカメラ。スマホやデジカメの高精細な写真に慣れている若者からするとフィルムで撮った写真のざらついた儚い写りが「エモい」らしい。私はバリバリフィルム世代なので実感できないのが残念である。初めてのフィルム、初めてのカメラ世代にとってはフィルムカメラは日常を特別なものにしてくれるものなのだそうだ。確かに自分も写真を始めたころにそんな思いを抱いていた気がする。もちろん「エモい」という言葉はなったが。とはいえ今からフィルムカメラを始めようと思うとなかなか難題が山積している。まずどのカメラを選ぶか?そのカメラの使い方は?電池やフィルムは何を選ぶのか。そして撮影した後どうしたらいいか?そういった疑問にすべて答えてくれるの本が出版された。写真家・大村祐里子氏の『フィルムカメラ・スタートブック』(玄光社)だ。フィルムカメラ・スタートブック 大村祐里子著 玄光社
大村祐里子さんの美しい写真がふんだんに使われているので好きな写真からカメラが選べる。この本では写真をトリミングなくそのまま使っている為、写真からそのカメラのフォーマットを知ることができるのが特徴だ。フォーマットとはカメラごとの画面比率で正方形や長方形があるが同じ長方形でも縦横比が違う。最近人気のスクエアーフォーマット(正方形)は6×6というフォーマットになる。文章で書くとわかりづらいが写真だと感覚で選べる。本と同じカメラを買えばいいのだ。しかも機種は限定されるがカメラの使い方やフィルムの装填方法なども動画で確認できるQRコードがついているのでスマホで簡単に使い方やフィルム装填方法を見ることができる。昔は当たり前だったフィルムの装填方法も初めてフィルムを扱うにあたっては大きな難関の一つだと思う。
あとこの本で斬新だなあと思ったのは電池関係の記事があること。電池の種類や電池ボックスの位置などが扱われている。当時の本では電池関係は説明書で読めばいいことなので当然省略されている。しかし今となってはむしろ説明書を手に入れることが難しい。電池の装填や電池の種類などわからないことだらけなのだ。そして落とし穴なのが絶版になっている電池も多いことだ。本書で紹介されているカメラはすべて現在でも手に入る電池を使ったカメラばかりなので安心だ。ちなみに絶版電池のカメラは意外と多く知らないと大変な思いをすることになる。例えば本書で紹介されているYASHICA Electro 35 MCは現行の4SR44なのであるが、少し古いYASHICA Electro 35 GTは絶版のHM-4N(水銀電池)なのだ。YASHICA Electro 35 Gtを使うためにはそこそこ値段がする電池変換アダプターを購入するか、アダプターを自作することになる。自作が苦にならない(むしろ楽しい)人には何でもないことだが初めてフィルムカメラをスタートする人には非常に高い壁である。この本では巻末に撮影後のフィルムの現像方法や仕上げの選択肢の記事もある。フィルムカメラを初めてスタート人にこんなに寄り添って書かれた親切な本は珍しいのではないだろうか。もちろんフィルムカメラを久しぶりに始めたい人にもおすすめの本だ!!
ちなみに僕も本書で紹介されているCANON AF35Mを愛用してます!!