2019.08.05

Hugo Meyer Trioplan 3.5cm F2.8 × 姫宮らん

オールドレンズポートレートフォトグラファーの上野由日路です。今回はドイツの老舗レンズメーカーHugo Meyer社(ヒューゴ・メイヤー社)のトリプレットレンズTrioplan 3.5cm F2.8(戦前モデル)を紹介したいと思います。直径1.6cmという極小の前玉、トリプレット(3枚構成)という単純な構成。それだけを見るとドラゴンクエストでいうスライムのような貧弱な印象に写る。しかし外見によらないのがオールドレンズ。このレンズはどんな写りを見せるのだろうか?

このレンズはフランツコッホマン社のコレレKというハーフカメラ用の交換レンズになる。ベークライトという樹脂製のボディの普及用カメラであるが、レンズ交換が出来るという面白いカメラだ。焦点距離3.5cmというと数あるトリオプランの中でも最もワイドな部類に入る。ペンティ用のトリオプラン30mmがよりワイドであるがF3.5というやや暗い開放値になってしまう。これらはどちらもハーフ用のレンズであるがフルサイズをぎりぎりカバーする。トリオプラン3.5cmF2.8はこのサイズにもかかわらずヘリコイドを内蔵している。この個体は改造してライカMマウント化していある。ライカM補助ヘリコイドアダプターを使えばダブルヘリコイド化できる。早速このレンズの写りを見て行きたい!!モデル:姫宮らん

3.5cmという広角を活かした引き画から。4隅が豪快に流れるが解像力はまずます。レンズのサイズからは想像できないほど良く写る。もちろん絞りは開放。しかしこのレンズの真骨頂はど派手なゴースト!!

逆光でさらに激しさを増す。虹やシャワー状のゴーストも特徴!はっきりした写りももちろん出来る。ちなみに雨の中の撮影!引き画から寄りまで万能な癖玉だ!!なにより1930年代前半のレンズがここまで写ることに驚く。しかも3枚玉。このレンズの特徴はトリプレットの解像力を画面中心に集約させている点。そのため画面中心部にかなりの描写力が残っている。その反面、周辺部の収差はかなりきつい。ゴーストやハレーションも盛大に出るが素直に出るので画作りに役立てればマイナス要素にはならない。見た目は小さいがものすごいポテンシャルを秘めたレンズだ。