豪華な9枚玉の広角シネレンズ LOMO OKC4-28-1 28mm F2
LOMO OKC4-28-1 2/28+ sony A7R2 dressed in Recoil(Recoilar) High-grip custom-case
LOMOの広角シネレンズの中でひと際大きな人気を集めているのがOKC4-28-1です。線の細い繊細な質感表現と、トーンをダイナミックに捉える軟らかい階調描写が特徴のレンズです。
このレンズは1970年に、それまで焦点距離28mmのロシア製シネレンズの主力製品であったKMZ/LENKINAP PO61 28mm F2.5の後継モデルとして登場しました。設計構成は下図に示すようなガウスタイプをベースとする6群9枚のレトロフォーカス型で、前方に空気間隔をあけ大きな貼り合わせダブレットを置くことで、バックフォーカスを延長し、広角のガウスタイプで問題となる周辺部の光量の低下を緩和しています。シネマ用レンズに求められる高い画質基準とF2の明るさ両立させるため、製造コストを度外視して作られたのでしょう。豪華な9枚のレンズ構成となっています
LOMO OKC4-28-1 28mm F2の設計構成
このレンズの質感表現はとても好きです。解像力が良好なうえ開放描写には品のある微かな柔らかさがあります。階調は軟らかく中間階調が豊富にでるので、トーンの変化をダイナミックに捉えることができ、曇りの日に用いると強まる軟調描写と線の細い繊細で緻密な画作りが相まって、とても雰囲気のある写真に仕上がります。ピント部は中央から周辺部まで良像域が広く、写真の四隅でも画質はかなり安定しています。背後のボケは穏やかで安定しており、グルグルボケや放射ボケが目立つことはありません。四隅での光量落ちは開放で引き画を取る際に少し出るくらいで、受け取り方は人にもよりますが、私には気になるレベルではありませんでした。絞り開放で積極的に取りたくなるレンズです。逆光になるとレトロフォーカスタイプらしく、ゴーストとシャワー状のハレーションが出ます。では、何点か写真作例を見てみましょう。
F2(開放) LOMO OKC4-28-1 28mm F2+ sony A7R2(APS-C mode, WB:曇天)
F2(開放) LOMO OKC4-28-1 28mm F2+ sony A7R2(APS-C mode, WB:曇天)
F4 LOMO OKC4-28-1 28mm F2+ sony A7R2(APS-C mode, WB:曇天)
F2(開放) LOMO OKC4-28-1 28mm F2+ sony A7R2(APS-C mode, WB:曇天)
※本記事はM42 mount spiralという自身のブログに掲載されている記事を新たに加筆・編集したもので、画像は既出のものを使用しています。