2019.01.01

手軽に買えるヒストリックなレンズたち Vol.1 CarlZeiss Tessar 120mm F6.3(b-Tessar)

あけましておめでとうございます。
オールドレンズ写真家の上野由日路(よしひろ)です。
今年も粛々とマニアックな記事を書いていきたいと思います。

オールドレンズの世界で銘レンズといえば「高価」なイメージがありますが、実はそうでないレンズもあります。もちろんこれから値段が上がらないとは限らないのですが現状手軽に買える値段で由緒正しい銘レンズを紹介していきます。

第一回目は「CarlZeiss Tessar 120mm F6.3」テッサーといえば世界で一番有名といっていいほど普及しているレンズで50mmF2.8というスペックのレンズの大半がテッサー型の構成を採用している。あまりにも有名なレンズのしかもF6.3と暗い開放値のためあまり注目されることの無いこのテッサーだがこのテッサーこそ「CariZeiss SeriesⅡb」こと「bテッサー」です。

1902年にパウル・ルドルフによって生み出された「テッサー」の最初の名前が「CariZeiss SeriesⅡbF6.3」でした。つまりb-テッサーは「パウル・ルドルフ」によるオリジナルのテッサーなのです。パウル・ルドルフは1897年に「プラナー」を発明したことでも有名であるが、当時はテッサーのほうが人気だった。他にも「キノプラズマート」や「マクロプラズマート」などが有名であるがどれも高価なレンズの代名詞だ。ではb-テッサーはどうかというと驚くほど安い。e-bayで下手をすれば1万円を切るものも存在する。でもどれが本物かわからないという声があるかもしれない。しかしルドルフは設計したレンズの再設計は基本していないのでf6.3のテッサーはルドルフのテッサーといえる。今回のレンズはシリアルから1910年製と推測される。ルドルフがツアイスを退社するのが1911年なのでまだ在席時の個体だ。こんな格安で手に入るレンズの写りはいかほどのものだろうか?

これが良く写る。当時センセーションを巻き起こしたという記録があるが、うなずける。本当に良く写るのだ。

1910年といえば100年以上前。明治43年にあたる。そんな昔のレンズがこんなに写るなんて。

中心部拡大しても十分な解像力があります。確かに現代のレンズに比べれば物足りないが十分な描写力。

逆光にもある程度耐える。

ハレ切りさえすればまったく問題なく写ります。困ったものだ。

立体感がすばらしい。今回の写真はすべて開放。

こんなナイーブな光も再現します。これはオールドらしい写り。

ちょっと現像で彩度を足せばこんな使い方も出来ます。空の青にリュウゼツランの赤い花が映えます。

いやいやこんないいレンズが1万円を切る価格で手に入るなんて。
今回は接写ベローズを使ってカメラに装着した。

ビジュアルも迫力満点!
リコイラー(旧リコイル)のカメラケースとも相性抜群。
注目を集めること間違いなし。

いかがだったでしょうか?
ルドルフのテッサーは予想以上の写りで驚きでした。